靴磨きにおいて必ず必須ではないワックスですが、より靴を光らせたい場合や、鏡面磨き(ハイシャイン)と呼ばれる磨き方をするのには必須です。このページでは、そんなワックスについてお伝えしていこうと思います。
ワックスの使い方について
ワックスは基本的に指で塗布します。全体的に薄く1層〜2層ほど塗り伸ばします。そのあとネル生地を指に巻きつけ、水を付けてからワックスを革に定着させることが革がワックスでコーティングされ防水効果をもたらすと共に革靴により光沢を与えます。
しかしながら、革靴の柔らかい部分にワックスを重ね塗りしすぎてしまうとひび割れの原因となります。柔らかい部分に関しては2層ほどにとどめておきましょう。
鏡面磨き(ハイシャイン)をする場合はつま先やかかとなど固い部分にのみ重ね塗りをするようにしましょう。
ワックスの色について
こちらは当店で使用しているサフィールのワックスです。ワックスには様々な色があり、靴の色に合わせたり、つま先に焦がしを入れる場合濃い色のワックスをチョイスしたりします。しかし当店ではほとんどを黒・フォーン、ニュートラル(無色)を使用します。フォーンに関しては、無色として認識しており補色力はほとんどありません。ニュートラルのように白っぽくなるということがなく、そもそもビーズワックスが配合されているサフィールのワックスの本来の色はこの色が近いのではないかと思っています。そのため、黒色からライトブラウンの靴にまでフォーンを使用すると、透白っぽくなく明感のある仕上がりになります。
様々な色があるワックス、たくさん種類を持つのも楽しいですが最後まで使い切るのにかなり時間がかかると思いますし、きちんと蓋をして保管していたとしても開封してから長期間に及ぶとワックスが硬くなり、使用感に影響を及ぼしてしまいます。固すぎるワックスは使用しにくく、鏡面仕上げにしても割れやすいという傾向があります。では、固すぎるワックスはどういうものなのかを説明していこうと思います。
ワックスの固さについて
こちらの写真は長い間開封されていた黒色のワックスです。見た目通り、岩のように硬く、指で触ってもザラザラとしており伸びにくく塗布しにくいです。なぜこうなるかというと、主成分である有機溶剤が揮発し、残りの油脂とロウ分が凝縮されるためです。油脂とロウ分が凝縮されていればより光沢がでるのがはやいのですが、元々が固い状態のためうまくやらないと鏡面仕上げにした時にひび割れしやすくなるのです。柔らかいワックスを使用した方が、より透明感のある仕上がりになり鏡面仕上げにした際も割れにくい傾向にあります。
ベストなワックスとは
ワックスの色、硬さについてご案内しました。
色に関しては、最初に申し上げた通り、ブラウンやライトブラウンなど様々な色がありますが、色が入ったり仕上がりに劇的な違いはないと当店では認識しているためまずは黒、フォーン、ニュートラルで問題ないかと思います。ただ、オフホワイト、ホワイトなどに関してはニュートラルの使用をお勧めしております。ご自身の好きな色をチョイスするのも楽しいと思いますので是非トライしていただければと思います。当店でもワックスの取り扱いもございますし、取り寄せも可能です。
硬さについても、ご自身で使いやすいベストな硬さがあります。一概には申し上げられませんが柔らかいワックスの方が塗り伸ばしやすいので初心者の方は、ワックスを開封後、フタを開けた状態で陰干しにて2〜3日放置しておくとほどよく有機溶剤が揮発した状態で使うのがおススメです。
色・硬さ、そして塗布量と水の量など様々な要因により仕上がりが異なります。ご自身にあったベストなワックスを見つけ、大切な靴により輝きを与えてあげましょう。