こちらの写真をご覧ください。見事にルイヴィトンの傘が二つに折れてしまっています。折れてしまった部分だけ、少し細く加工してあり、ここに負荷がかかることで折れてしまったのでしょう。
本来私のお店は革製品のメンテナンスショップではありますが、様々な品の修理のご相談があります。パッと見て、「これは流石に直せない・・・」となりましたが、お相手は常連のお客様。君ならやれる!と任せられたのが嬉しく、今回の傘の修理を承ったわけでありますが、果たして直せるのでしょうか?
結論を先に言いますと、無事に修理ができました!
かなりの時間を要し、トライアンドエラーを繰り返したわけなので修理方法を載せるを悩みましたが、同じような悩みを持つお客様や、同業者の方で依頼を受けた方の参考になればと思い、この度修理実績の記事にあげることにしました。それでは早速修理工程をご覧くださいませ。
ルイヴィトンの傘の持ち手が折れてしまった!修理は可能なのか?修理工程をご紹介します
まずは、折れてしまった傘のささくれをヤスリで綺麗に整えます。持ち手の部分も平らにならしていきます。これで下処理は完了です。
次に寸切という長いねじのようなものを傘本体に組み込むためにインパクトドライバーで真っ直ぐ、慎重に穴を空けていきます。ここで曲がったりしてしまうと寸切が綺麗に入りませんし、周りの木が割れてしまい修理が不可能になってしまいます。本当に慎重に行う必要があります。穴あけの呼吸!
その後に、鬼目ナットというものを取り付けるために再度穴を空けます。鬼目ナットは寸切よりも幅が大きいため、改めて穴を空ける必要があるためです。文章のみではわかりにくいため、取り付け後の写真をご覧ください。
真ん中の中央に見えるのが寸切という細長いねじです。これが2つを1つに繋げるための支柱になるわけです。そして、木に埋め込まれているのが鬼目ナットです。これを取り付けることで、ネジが効いて固定ができます。これを両方に組み込んでいきます。
傘の本体部分になります。写真の通り、寸切だけだとネジが効かずに空転してしまいますので、鬼目ナットが非常に重要な役割を持ってくるのです。
折れてしまった傘の両方に鬼目ナットを装着することができました。この装着についても非常に繊細な作業になりますので、ご自身で修理される場合は自己責任にてお願いいたします・・・。さて、ここからいよいよジョイント作業に入ります。両方を回して寸切を傘の内部に組み込んできます。果たしてうまく固定できるのか?!
ルイヴィトンの傘の持ち手が折れてしまった!修理の仕上がりは?耐久性や費用、納期は?
感動です。見事に固定ができました。ルイヴィトンのパーツもしっかり収まり、見た限りでは修理していないに等しい状態です。
耐久性としては完璧、というわけではありません。あくまで木の密度とステンレスである寸切で今の状態が保てているわけなので、傘の先端部分を持って振り回したりすれば折れてしまうかもしれません。なるべく患部付近を持つようにして、負担をかけない使用をお勧めしております。
また、寸切という細長いネジで固定しているため、使用しているうちに緩んできてしまう恐れがあります。その場合は傘の両方から締め上げ直してあげれば良いでしょう。それくらいであれば、お客様自身でも対応が可能かと思われます。
今回は修理方法を模索しておりましたのでかなり納期を頂きましたが、今後の納期は1か月前後でお渡しできるかと思います。
また、この修理においては傘の太さや材質によって修理可否が分かれます。今回は木製で、且つある程度の太さがあったため修理が可能でした。
当店にご依頼いただく場合は、見積もりさせていただければ幸いです。もしほかに方法があればいいのですが・・。
金額については、6,000円〜12,000円(税別)とさせていただいております。修理方法によって大きく金額が変わるため、当店のLINEに登録していただくかお問い合わせフォーム、直接のご来店で見積もりをお願いいたします。
いかがでしたでしょうか?基本的には修理不可能とされる傘の持ち手折れですが、このような修理方法も存在します。気になられた方がお気軽にお問い合わせくださいませ。
お読み頂きありがとうございました。